充実した休日を

時計屋で時計を買うより、服屋で時計買いたい派。そっちの方が運命的な感じしませんか?

永劫回帰

 目が覚めた時に誰かが手を繋いでくれてる夢を見る。目が覚めた時、ああ、そういえば一人暮らしやったって思ってから夢やったかって思う。目が覚めてからそういえばマンション見に行けばAmazonのギフトカード5000円分もらえるってポストに入ってたなぁと思ってそのマンションを見に行った。ほんと気まぐれだったと思う。今にして思えば。そんな感じだったはずだ。マンションについてからだ。初めて行ったけど、綺麗な女の人が出迎えてくれた。一室にもてなされる。一通り見てから。女の人が近づいてくる。うわ、近い近い。めっちゃいい匂いする、谷間、胸でかって思ってたらカチって音が鳴って首に何かつけられる。そしてアタッシュケースを渡されて

『この中に1億円入っています。差し上げます。その代わり1時間後首輪が爆発してあなたは死にます。』

何を言ってるのか理解できなかった。偽札?なんのために?1億円??ああ、夢か。

『夢か。みたいな顔してますけど違いますよ。本物です。お金、よく見て確かめてください』

そんなこと言われてもなぁ。てか、顔に出てた。。。恥ずかしい。いや、その前にどうする!1時間。どうつかいきる?美味しいもの食べる?旅行に行く?世界一周?いや、だめだ時間が足りない。ここはどこだっけ?たしか家から車で30分くらいだったか。家に戻るか。てか後何分だ?携帯!携帯をポケットから取り出そうとするとバチっとなって画面が真っ暗になってしまった。電磁波??こんなことある?やっぱり夢じゃん。ね。

『すみません、今何時ですか?』

『今は2時くらいです』

今2時か。14時だよな。外明るいし。夜中なわけないか。とりあえず首輪外せないか鏡を見ようと洗面所に向かう。鏡には首輪をつけた僕が映っていた。そりゃそうなんだけど。首輪は割とオシャレなものだった。ごつくて灰色で緑で赤の点滅してたり、カウントダウンが表示されてるかと思ったけど、そんな感じではなかった。黒色の輪っかって感じ。特に点滅したりとか機械感は全くなかった。洗面所は特に物もないので壊せたりはできなさそうだった。人間の力じゃ無理そう。外せるわけなかった。そりゃそうなんだけど。なんか夢じゃないのかと現実に引き戻される感じがして嫌だった。リビングに戻る。まだ女の人はいた。なんで彼女はそこにいるんだ?と思った時。

どどどどーん!!と派手な音が鳴り、世界が揺れる。音に驚いて僕は尻餅をつく。

『なになになになに』

立ち上がるより早く言葉が出る。

『少し前にいらした別の部屋のお客様のようですね』

そういうと僕に向かって手を差し伸ばしてくれる。その手を取り立ち上がる。

『お客様?少し前、てかほんとに爆発するんですね。夢だと思いました』

『現実ですよ。さっき言ったじゃないですか。』

完全に現実に引き戻されてしまった。夢じゃない。まじやばい。どうする。後何分だ。3LDKの部屋を少し歩いてキョロキョロ探したが時計がない。おかしい。やっぱり夢だ。

『あの、どこの部屋にも時計がないんですけど、やっぱり夢ですか?』

『新築なのに家具置くわけないじゃないですか。もし夢ならその小さい頭では理解できないかと小言をいうところでした』

!?夢じゃなくてよかった。軽蔑されるところだった。あぶないあぶない。一安心していると

『逃げないんですか?』

逃げないんですか?逃げないんですか?逃げないんですかってなんだ。顔をしかめる。

『何かから逃げないといけませんか?』

質問に質問で返してしまった!

『お金を渡すとみんな私から逃げてしまうので。あなたもそうなのかと思いまして。』

それは解釈違いでは、、、と。もう喉まできたことばをグッと飲み込む。

『あはは、お姉さん面白いですね。逆にお姉さんは僕から逃げないんですか?』

『ふふ、あなたも面白いこと言いますね。別にあなたは怖くないのにどうして逃げないといけませんか?』

『え、この首輪爆発ますよね?おそらくこの部屋全部巻き込まれるんじゃないですか?』

『あっ!それもそうですね。』

どうやら気づいたらしい。爆発しないという可能性が消えて悲しい。もしかしたらって思ってたのに。

『まぁ。でもこれが仕事ですから』

仕事?仕事で初対面の見ず知らずの人に殺されるかもしれないのに?おかしい。この人は死なないんだ。でもなんで?よく見たら金髪で赤と青のオッドアイだ。顔立ちもいい。モデルさんみたいだ。モデルさんなんてあんまり見ないから表現が合ってるかどうかわからないけど。なんで僕と一緒にいるんだ?もしかして僕のこと好きか?いや、ない。ありえないな。メリットはなんだ。彼女は何が目的だ。僕は1億円持っている。お金目的?だったらもう奪えるはずでは。可愛い女の子と一緒でお金が奪える手段がある???レンタル彼女?違うな。それなら先にお金取るはず。アニメで見た。となると。。。美人局!!これだ!これしかない!だとしても

『し、仕事に命かけてるんですね』

声に出てた!しまったと思ったが

『生きるために仕事してますから。』

『その仕事で命落としたら本末転倒では?』

『その時はその時です。命かけてるから面白いんです。この仕事面白いんですよ?』

『その話聞きたいです!』

それから座って名前も知らないお姉さんと話した。腕輪にしたら腕を切られて逃げられた話。できるだけ遠くに行こうとしてる人の最後を見ようと追いかけた話。親に電話しようとして頑張ったけど、どうしようもなくなって死んだ人の話。パチンコしに行って最初の数万円で当たりを引いてパチンコしながら死んだ人の話。スカイツリーの頂上からお金ばら撒くと息巻いて行きの新幹線でタイムアップした話。競馬場まで行って賭け金を入れてる間に時間が来た人の話。整形すると言って整形中にタイムアップした話。札束の海に溺れてそのままの話。お金持ちとひけらかしてお金を奪われた人の話。宝くじ買おうと移動中に事故で死んじゃった人の話。それから後何の話してたかな。うとうとしてきた。1時間なんてとうにすぎてるんじゃないか?やっぱり夢なんだ。だったら

『ごめん、眠たくなってきた。眠るまで手握ってもらっていいですか?』

『それくらいならいいですよ。』

彼女の温かい手に包まれる。レンタル彼女かな。やっぱり胸揉んだりは無理だったのか。めっちゃ可愛いよなぁ。彼氏いるだろうなぁ。外に出たら殺されてたんだろうなぁ。やらなくてよかったとか思ってたら意識が落ちた。